死ぬ前に 行かねばならぬ エルサレム

 
グラディエーター、ブレードランナーで有名なイギリス人リドリースコッツ監督、オーランド ブルーム主演で描かれたキングダム オブ ヘブン、ご覧になリましたか?十字軍の遠征を描いた作品ですが、リドリースコッツ監督による現代の社会批判といっても良い作品です。軍需産業に牛耳られた感のある醜い現代社会の在り方は800年前とほとんど変わっていないようです。人間の進歩のなさ、愚かさが描かれ、人間どうあるべきか、どう生きるべきかを考えさせられる映画です。
エルサレムはユダヤ教、キリスト教、そして回教徒にとっての聖地であり、世界中からの巡礼の人が後を絶ちません。日本人にとっては、先ず行こうとも考えない、行こうと決めたら回りが皆で止めにかかる世界で一番遠い国イスラエルの首都です。常に新聞テレビで取り上げられる紛争の耐えない国ですが、行ってみると拍子抜けするほど普通なので驚きます。日本外務省のサイトでも渡航の際は十分注意してください、と書いてあるのみ、何処に行くにも気を付けるのは当たり前ですから、日本人が考える想像以上に危なくないということです。巡礼者の団体がたくさんいるのも納得です。第3次世界大戦のまさに時限爆弾ともいえるイスラエル、常に国内外の紛争で女、子供が命を落としている国なのですが、レバノン国境とガザ周辺を除けばなんら平和な国と変わりはありません。
 



オリーブ山のユダヤ人墓地から眺めた旧市街地

 
レバントといわれる東部地中海沿岸地方は、エジプト、メソポタミア、トルコ、海の向こうはギリシャに囲まれ、まさに古代文明が入り混じり文化交流の中心に位置すると同時に、その衝突による数限りない戦乱に巻き込まれてきた所です。世界の歴史の蚊帳の外で育った日本とはまさに正反対、祖国を追い出され国を持たない歴史をもつのが、ユダヤ人であり、パレスチナ人であるわけです。
そういった歴史を反映し、エルサレム旧市街はユダヤ教区、アルメニア地区、イスラム教区、キリスト教区に別れお休みも地区により金曜日、土曜日、日曜日と違いながら仲良く共存しています。
世界を旅行すると視覚的に感動を覚えずにはいられないところが数限りなくあります。マチュピチュ、ピラミッド、モンサンミッシェル、アルプス、パタゴニア、ヒマラヤ、モンゴル、きりがありありません。
エルサレムはそういったも視覚的感動を呼ぶものは何もありません。しかしながら、嘆きの壁に集まるユダヤ人、黄金のドームを訪れる回教徒、十字架を担いで狭いマーケットとなってしまったゴルゴダの丘をあがるキリスト教徒、それを見学に世界中から集まる観光客、この3000年に及ぶ人間の浅ましいレ歴史を振り返らずにはいられません。
キングダム オブ へブンの最後の場面にオーランドが回教徒の英雄サラディンに質問します。
エルサレムにどれほどの価値があるのか?
”Nothing
ところが数歩歩いて振り返り、”Everything” といって微笑みます。
 



オスカー.シンデラーの墓、ザイオン山の中腹キリスト教墓地

 
私たちは平和に生きることを望む反面、国家に何の罪もない人を苦しめる"戦争を世論というものを使って強要する愚かな生き物です。
第2次大戦中、人間としての理性をほとんど失ってしまったドイツ国民が多い中、数多くのユダヤ人の命を救ったオスカー シンデラーのお墓を尋ねました。
墓石に積まれた小石を眺めていると、訳もなく涙がこぼれてきました。