ネブアメンの墓の壁画

ルーブル、メトロポリタンと並ぶ世界3大美術館と言われる大英博物館であるが絵画はほとんど展示されていない。よって世界中からの訪問者の一番のお目当ては、象形文字解読の基となったロゼッタストーン、でなければ天才フィディアスによるパルテノン神殿彫刻というのが一般的な相場である。そんな中で、ルーブルの“モナリザ”が足元にも及ばないほど価値があっても不思議ではないと思われる壁画がネブアメンの墓の壁画である。

BC1350年頃のテーベの裕福な役人のお墓から出土した11点の壁画は、あの世で不自由なく暮らせるようにと願いを込めて描かれたものだ。その中に3点の宴会の図がありその中の1つに描かれた女楽士が驚くことに横顔ではなく正面を向いているのである。

 

 

この壁画が描かれたころのファラオはイクナートン、腐敗したテーベの神官勢力と対立し都をテル-エル-アマルナに移したためアマルナ革命といわれる時代である。この革命は美術にも多大な影響を及ぼし、それまでの形式にこだわらない、写実的な美術が生まれたのである。

“沼で鳥を捕まえるネブアメノン”ではパピルスの枝に止まっていた鳥たちが大騒ぎしながら飛び立つ模様が描かれているが、その写実性は描かれた時代を考慮すると目を見張るほど傑出した出来栄えである。

 

 

遥か古代にエジプトで起こった一大進化もイクナートンの死後、テーベの神官が勢力を盛り返すと、世界初の一神教信仰と共に歴史に葬り去れてしまうのである。